Max Verstappen (C)Honda Racing
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最終戦、ファイナルラップでのバトルを制したマックス・フェルスタッペンが、2021シーズンのF1世界チャンピオンに輝き、歴史に残る戦いでシーズンを締めくくりました。
ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンは、7コーナーでハミルトン(メルセデス)とのバトルでオーバーテイクをしましたが、コーナーカットをしたハミルトンが先行を維持してコース上に復帰。
審議の末、ハミルトンにポジション維持を許すこととなり、1周目に2番手にポジションを落としました。
その結果、Red Bull Racingは13周目にピットインし、ハードタイヤへ変更しアグレッシブな戦略を取ることにしました。
直後にハミルトンもピットインすると、ピットストップを行っていなかったセルジオ・ペレスがソフトタイヤでトップに浮上しました。
フェルスタッペンとハミルトンとのギャップを縮めるため、ペレスはハミルトンを抑え込みながら走行するすばらしいパフォーマンスを見せました。
その後オーバーテイクされると、ペレスは22周目に1回目のピットストップを行いハードタイヤへ変更。
続いて角田裕毅が1周遅れでピットインをし、スタート時のミディアムタイヤからハードタイヤへ同じく変更しました。
ハードタイヤでスタートしたピエール・ガスリーはピットインを行わずステイアウトしてトップ6まで浮上し、レースが落ち着くまで走行を続けました。
最初の混乱は35周目に起こりました。
アントニオ・ジョヴィナッツィ(アルファロメオ)がコース上でマシンを止めてしまうと、バーチャルセーフティカーが導入されました。
フェルスタッペン、ペレス、ガスリーが少ないタイムロスでピットストップ。
Red Bull Racingの2台は再びハードタイヤへ変更し、Scuderia AlphaTauriのガスリーは異なるタイヤコンパウンドの装着義務のためにミディアムタイヤへ変更しました。
レース再開後、ハミルトンとの20秒のギャップを少しずつ縮めていきましたが、追い付くには至りませんでした。
そんな中、残り6周でニコラス・ラティフィ(ウィリアムス)がクラッシュすると事態は一転しました。
クラッシュによりセーフティカーが導入されると、ポジションキープのためにハミルトンはピットストップを行うことができずステイアウトを選択。
フェルスタッペンとペレスに続き角田とガスリーもピットイン。
ペレスはPUのデータに異常を確認して、そのままリタイアとなり、3台はソフトタイヤへ変更してレースをリスタートしました。
審議の後、レースは残り1周で再スタートを切り、チャンピオン獲得をかけたフェルスタッペンに残されたのはたった1周16コーナーでした。
フェルスタッペンは5コーナーでハミルトンを見事オーバーテイクし、9コーナーで抜き返しを図るハミルトンに対してすばらしいディフェンスを見せ、見事に抑えたフェルスタッペン。
予想もしなかったレースのファイナルラップの戦いにより、フェルスタッペンが今シーズンのチャンピオンを獲得しました。
残念ながらリタイアとなったペレスでしたが、レースの中では、フェルスタッペンを助ける走りですばらしい貢献を果たしました。
そしてScuderia AlphaTauriは角田4位、ガスリー5位と2台共がトップ5を獲得し、すばらしい成績をおさめました。
コンストラクターズチャンピオンシップで5位にはわずかながら届きませんでしたが、今シーズン最高位の成績を収めた角田は最終戦、ルーキーシーズンの集大成ともいえるレースで、ここ一番の活躍を見せました。
初めて世界チャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペンには世界中から注目が集まっています。
1981年にアイルトン・セナが初めて獲得してから、Hondaとして6度目のチャンピオン獲得により、F1最後の年を最高の結果で締めくくることができました。
【田辺 豊治(テクニカルディレクター)】
「2021年最終戦、アブダビGPが終了しました。
Red Bull Racing Hondaのフェルスタッペン選手が優勝して、ドライバーズチャンピオンシップを獲得しました。
Hondaは2015年からF1に参戦し、チャンピオンを目指しここまで挑戦を続けてきました。
Honda F1参戦最後の年、最終レース、ラストラップでRed Bullのフェルスタッペン選手がトップに立ち、チェッカーを受けました。
われわれの努力と挑戦が報われ、本当に感無量です。
チームメートのペレス選手については、PUのデータに異常が見られたため、最終盤にリタイアせざるを得ず、非常に残念に思っています。
ただ、レースを通して、昨日に続いてすばらしいチームプレーを見せてくれました。
Scuderia AlphaTauriの2台は、週末を通し見せていた、いいパフォーマンスをレースでも発揮してくれました。
角田選手は4位、ガスリー選手は5位と、今年一番の結果になりました。
角田選手は、F1初挑戦の今シーズン、最終戦で今まで積み重ねた経験を十分に発揮し、ベストリザルトにつなげてくれました。
すばらしいドライビングだったと思います。
ガスリー選手も、12番手スタートからいいパフォーマンスでポジションを上げ、AlphaTauriとしていい結果でシーズンを締めくることができたと思います。
残念ながらコンストラクターズチャンピオンシップは逃しましたが、フェルスタッペン選手とともに、ドライバーズチャンピオンシップを獲得できたことを、本当にうれしく思っています。
今回のプロジェクトの7年間は、さまざまな苦労と喜びがありました。
その中で、HRD-Sakura、HRD-UKをはじめとして、オールHondaのエンジニアやメカニックが決してあきらめることなく開発を続け、いくつもの技術的なブレイクスルーを成し遂げてきました。
地道な研究と努力の結果が実を結んだと思っています。
また、われわれとともに戦ってくれたRed Bull RacingとScuderia AlphaTauriのメンバー、そしていままで一緒に戦ったすべてのドライバーに感謝の気持ちを伝えたいと思います。
そして、苦しい時でもサポートを続けていただいたファンの皆さまにも、感謝を申し上げます。
これでわれわれの挑戦は終わりますが、この経験は、将来のHondaの技術に必ず生きると確信しています。
Hondaはこの先も、あらゆる領域での技術への挑戦を続けていきます。本当にありがとうございました」
【山本 雅史(マネージングディレクター)】
「やりました!念願のチャンピオンです!!
皆さんと一緒に獲ったと思っています。
今日は本当に劇的なレースで、最後の最後にチャンピオンが決まった形ですが、最後までもつれた今シーズンを凝縮したような結末で、メンバー全員が感動をもらいました。
私自身、『とてつもなく高いゴールであっても、挑戦を続ければいつか夢はかなう』と、今日のレース、そして今回のプロジェクト全体を通して実感することができました。
そして、今日のレースをもって、HondaのF1プロジェクトが終了となりました。
高度なハイブリッド技術を使用した新PUレギュレーションの導入に伴い、われわれは2015年からPUサプライヤーとしてF1に復帰し、今日まで7シーズン、合計141戦を戦ってきました。
ほかのライバルに比べると短い開発期間で参戦したこともあり、参戦当初は非常に苦戦し、どん底と呼べるような時期も味わってきました。
それでも、コロナ禍などの困難も乗り越えて、最終年となった今年は強力なライバルを相手にチャンピオンシップを戦うなど、世界の頂点をかけて戦うところまで来ることができました。
苦境にあっても常に前を向きながら地道に開発を続け、数々のブレイクスルーを果たしてきたエンジニア・メカニックたち一人ひとりの努力が実を結んだと思っており、Hondaの意地を見せるとともに、技術力の高さを証明することができたと感じています。
もちろん、ここまで来られたのは、われわれの力だけによるものではありません。
一緒にチャンピオンシップを戦ってきたRed Bull Racingはもちろん、苦境にあったわれわれを明るさとともに迎え入れてくれたScuderia AlphaTauri、今回のプロジェクトを一緒にスタートしたMcLaren Racingや、常にトップを目指し全力を尽くしてくれたすべてのドライバーたちなど、誰一人を欠いても今日のHonda F1に至ることはありませんでした。
すべての仲間たちの情熱が、今のHonda F1を築いてきました。
なにより、もっとも感謝をしたいのは、いい時も悪い時も熱い声援とともにわれわれを支えてくれたファンの皆さまです。
先が見えない状況で、くじけてしまいそうな時でも、皆さんの強い後押しにより前を向くことができたメンバーは、私一人ではないはずです。
私自信、皆さんと一緒にPower of Dreamsを体現するんだという思いとともに、いつもレースを戦ってきました。
少しでも多くの皆さんと、勝利の喜びや、負ける悔しさを共有し、『いつか世界の頂点に立つんだ』という夢を実現できたのであれば、これ以上うれしいことはありません。
改めて、Honda のF1プロジェクトに関わり、サポートしてきてくれたすべての皆さまに、この場を借りて感謝の言葉を送りたいと思います。
本当にありがとうございました。
今回の我々のプロジェクトを『成功』と呼べるのかはわかりません。
ただ、このチャレンジが皆さまの記憶に残り、今後、皆さま自身が夢に向かってチャレンジする際に、少しでも勇気を与えるようなことがあるのであれば、それは私たちHondaにとっては一つの成功であると言えるのかもしれません。
われわれのF1での冒険は、残念ながら今日のアブダビでのレースをもって終了します。
ここからHondaは、F1で培った技術力や人材の力を用いて、カーボンニュートラルに対する取り組みという、新たなチャレンジに向かうことになります。
また、F1でもRed Bull RacingとScuderia AlphaTauriが、我々の開発したPUの使用を続けていくことになります。
これまでとは異なった領域、チャレンジになりますが、新たなチャレンジに対し、皆さまからご声援をいただけますと幸いです」
【マックス・フェルスタッペン(レッドブル)】(決勝 1位)
「ワールドチャンピオンになることができて、すばらしい気分です。
これ以上のすばらしいレース、シーズンを望むことはできなかったと思います。
今日はジェットコースターに乗っているようでしたし、最終周まで勝機があまり見えないレースでしたが、最後にすべてがうまくいったので、あとはチャレンジするだけでした。
常に自分に『最後まで持てる力を出し切るのみだ』と言い聞かせ、実際にそれができたと思います。
もちろん、セーフティカー明けとなったラストラップでは僕たちは新しいタイヤを履いていましたが、それでもチャレンジをしなければいけない状況でした。
そして、幸いにもそれがうまくいきました。
チェコ(セルジオ・ペレス)の今日のパフォーマンスには本当に感謝をしています。
そのおかげで僕はチャンピオンシップを獲得できましたし、彼はチームのために全力を尽くしてくれました。
今日はチームワークのすばらしさを見せられたと思います。
そして、彼は本当にすばらしいチームメートです。
メルセデスは今回、コンストラクターズチャンピオンシップを勝ち取り、僕たちはドライバーズチャンピオンシップを勝ち取りました。
そのことからも、今年、両チームがどれだけ激しく競っていたかがわかると思います。
ルイス・ハミルトン(メルセデス)はすばらしいドライバーですし、それに対して疑いの余地はありません。
もちろん、彼とはシーズンを通していろいろなことがありましたが、すべてが終わって振り返れば、僕たち2人はすばらしいレースを戦ってきました。
2つのチームが力を出し尽くして戦ってきたシーズンになりました」
【セルジオ・ペレス(レッドブル)】(決勝 リタイヤ)
「まずは、マックス(フェルスタッペン)とチームが今シーズン、そして今までの努力が報われチャンピオン獲得となったことをとてもうれしく思います。
マックスは勝つべくして勝ち取ったチャンピオンシップだったのではないでしょうか。
最高のチームメートでありすばらしい人柄の彼のタイトル獲得に貢献できたことを、とても誇りに思います。
途中までルイス(ハミルトン)がレースを主導していて、マックスとの差は10秒ほどあり、僕が手助けをすることができとてもうれしかったです。
タイヤはだいぶ摩耗していたのであまり多くのことはできなかったのですが、何秒かルイスの時間を稼ぐことができ、結果的にそれがレースを大きく左右することになりました。
誰もがチャンピオン争いの渦中に入ることは避けたい筈です。
しかし僕もチームの一員であり、チームのため、マックスのために行動しました。
今日のレースの終わり方を見ると2位で終えることも可能だったかもしれません。
しかしマシンの状態があまり良くなく、再びセーフティカー導入の原因になるわけにもいかずリタイアという選択をせざるを得ませんでした。
コンストラクターズタイトルの獲得には惜しくも届きませんでしたが、今日の結果に満足していますし、今シーズンのチームの成果を喜ばしく思います」
【角田 裕毅(アルファタウリ)】(決勝 4位)
「今シーズンを最高の結果で締めくくることができて、とてもうれしいです。
このレースウイークを通して、マシンは最高のパフォーマンスを発揮してくれました。
レースペースがここまで良くなると予想をしていなかったのですが、結果的に最高の日になりました。
シーズンをこんなに良い状態で終えることができるなんて、本当に最高です。
ここまで来るのに長い道のりでしたが、これで自信を取り戻すことができましたし、最高の結果をもってオフシーズンに入ることができます。
マックス(フェルスタッペン)、本当におめでとう!
彼にとってはシーズンを通してタフなレースばかりだった筈ですし、今日のレースは勝つべくして勝ったのだと思います。
同時に、HondaにとってF1最後の年となるシーズンでチャンピオンを獲得してくれたことにとても感謝をしています」
【ピエール・ガスリー(アルファタウリ)】(決勝 5位)
「レースを5位で終えることができて、今年最後のレースとして最高の結果になりました。
チーム設立から15年、今シーズンは多くのポイントを獲得し、たくさんのハイライトを残すことができたベストな1年になりました。
毎戦チーム一丸となって集中してレースに取り組み、良いパフォーマンスを発揮することができ、チームの皆を誇りに思います。
マックス(フェルスタッペン)のチャンピオン獲得は、幼いころから共にレースをしてきた仲間としてとてもうれしいです。
いつか世界チャンピオンになるだろうと思っていた彼が、今日その夢を叶えたのです。
そしてこれまで多く貢献してくれたHondaの皆さんにも、最後の年にチャンピオンを獲得できたことに祝福を伝えたいです」
提供:本田技研工業(株)
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