ホンダ系チーム、決勝レースコメント(7/18)
Race Scene (C)Honda Racing
拡大します
第10戦イギリスGPの決勝は、非常に厳しい戦いとなりましたが、Hondaパワーユニット勢の最上位にScuderia AlphaTauri Hondaの角田裕毅が入り、ポイント獲得を果たしました。
前日に行われたスプリント予選の結果により、Red Bull Racing Hondaのマックス・フェルスタッペンがポールポジションからスタート。
スプリント予選をリタイアで終えた、セルジオ・ペレスは、パーツ交換を行ったためにピットレーンスタートとなりました。
Scuderia AlphaTauri Hondaは、ピエール・ガスリーが12番グリッド、角田裕毅が16番グリッドとなりました。
このフォーマットでは、全ドライバーがスタートタイヤを自由に選択できますが、ペレスがハードタイヤを装着したほかは、全員がミディアムタイヤを選択しました。
スタート直後から、フェルスタッペンとルイス・ハミルトン(メルセデス)は激しいバトルを繰り広げると、ターン9のコプスで、後方からオーバーテイクを試みたハミルトンが、フェルスタッペンの左リアに接触。
フェルスタッペンは高速でコース外のバリアへ衝突しました。
これによってレースは赤旗中断となったものの、幸いにもフェルスタッペンは自力でマシンを降り、救急車へ歩いて乗り込むことができました。
その後、予防の意味も含めてさらなる検査を行うために、地元の病院へと搬送されました。
このインシデントに対して、スチュワードは、ハミルトンに10秒加算のタイムペナルティーを科しました。
マシン回収とバリア修復を行ったため、レース中断は30分以上に及びましたが、この間にはタイヤ交換とマシン修復が認められており、全車がスタンディングスタートでの再開に備えます。
残り49周時点からスタンディングスタートで再開されると、19番グリッドのペレスが見事な追い上げで12番手まで浮上。
しかし、ここでペースの上がらないエステバン・オコン(アルピーヌ)に引っかかっていたガスリーの後方で抑えられる形となり、ペレスは18周目にピットイン。ミディアムタイヤに交換して2ストップ戦略に切り替えます。
一方、Scuderia AlphaTauri勢はピットストップを遅らせる戦略に挑みます。
ガスリーはトラックリミット違反の警告を受けたことから、ドライビングを修正しつつ、DRSトレイン状態の中でレースを進めます。
周囲のマシンがピットストップを終えて単独走行となると、28周目にハードタイヤに交換。
角田はその背後でペースを上げると、全車の中で最も遅い30周目にピットストップを行います。
トップ10に浮上していたペレスは、38周目に2度目のピットストップを行い、再度ミディアムタイヤを装着。
オーバーテイクを繰り返し、46周目にパンクを喫したガスリーがピットインしたことで11番手まで浮上。
さらにキミ・ライコネン(アルファロメオ)をパスしてポイント圏内に入りますが、チームはここでチャンピオンシップを考えて戦略を切り替えます。
ハミルトンがレースのリードを奪い、ファステストラップも記録したため、ペレスはソフトタイヤに交換してファステストラップを更新。
ペレスは16位でフィニッシュしたため、トップ10以上に限定されるファステストラップポイントの獲得はなりませんでしたが、タイトル争いのライバルであるハミルトンの1ポイント追加を阻止しました。
角田はペースを維持しながら順位を上げて、16番グリッドから10位入賞を果たしました。
これが自身4度目、2戦ぶりのポイント獲得となります。
ガスリーは2度目のピットインの後に、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)をオーバーテイクし、角田に続く11位でフィニッシュしました。
次戦はサマーブレイク前最後のレースとなる、第11戦ハンガリーGP。8月1日(日)に決勝が行われます。
【田辺 豊治(テクニカルディレクター)】
「今日のイギリスGP決勝は、われわれにとって非常に厳しい結果になりました。
ポールポジションからスタートしたRed Bull Racing Hondaのフェルスタッペン選手は、いいスタートを決めたものの、オープニングラップで後ろから迫るハミルトン選手に接触されてコントロールを失い、タイヤバリアに突っ込みレースを終えました。
非常に残念ではありましたが、激しいクラッシュにもかかわらず、フェルスタッペン選手に大きなケガなどがなさそうなことは幸いでした。
昨日のスプリント予選でのリタイアを受けてピットレーンからスタートしたチームメートのペレス選手は、オーバーテイクが困難なレースでトラフィックの状況などにより、非常に難しい展開となりました。
一時は10番手までポジションを上げましたが、最終的にはノーポイントと、こちらも残念な結果になりました。
Scuderia AlphaTauri Hondaについては、週末を通してペースが上がらず苦しい戦いでしたが、粘り強く走った角田選手が10位入賞と、貴重なポイントを獲得できたことはよかったと思っています。
今回のレース結果は非常に厳しいものですが、これがチャンピオンシップを戦っていく厳しさだとも感じています。
気持ちを入れ替えて、次戦ハンガリーGPに向けて準備を進めます。
このあともタフな戦いが続くと思いますが、強力なライバルを相手にいいレースができるよう、最善を尽くしていきたいと思います」
【クリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)】
「イギリスGPのレースウイークをこういう形で終えることになるのは本当に厳しいです。
マックスが自力でマシンを降りてこられたことが幸いでしたが、彼はその後病院で検査を受けて現在も経過観察の最中です。
映像を何度も見返しましたが、コプスのようなF1の中でも最速のコーナーの一つで、イン側からホイールを向けてくるというのは間違った判断で、ルイスが両ドライバーを多大なリスクにさらしたと感じざるを得ません。
接触の瞬間を見て分かるように、ルイスはマックスに並びかけておらず、ルイスの左フロントがマックスの右リアに当たっています。
この動きによって、マックスは51Gもの衝撃とともに壁に激突しました。
マックスとヨス(フェルスタッペン氏/父親)とは連絡を取っており、このあとまた状況をアップデートしようと思います。
チェコ(ペレス)にとっては厳しいレースになりました。
ピットレーンスタートからすぐにポジションを上げたものの、DRSトレインに引っかかり、タイヤのデグラデーションが大きくなってしまいました。
レース終盤では、ファステストラップを記録するために彼をピットに入れました。
チャンピオンシップではわれわれがまだリードを保っていますが、今日の出来事はチャンピオンシップ獲得に向けて、われわれの闘志にさらなる火をつけたと思っています」
【セルジオ・ペレス(レッドブル)】(決勝16位)
「今週末の内容と自分のパフォーマンスにはとてもがっかりしています。
想定していたほど改善できず、タイヤのことを考えるととても難しい位置にいました。
DRSトレインに入ってからはオーバーテイクするのが不可能でした。
残り数周でランス(ストロール/アストンマーティン)とフェルナンド(アロンソ/アルピーヌ)をパスして7位になることはできたと思いますが、戦略的な理由でファステストラップを目指すためにピットインしました。
今週末は僕らにとっては忘れるべきものですし、チャンピオンシップでも大きくリードを詰められてしまいましたが、ハードワークで立て直しを図り、ハンガリーでは再び強くなって戻ってこなければなりません。
マックスとルイスのインシデントについてはまだ映像を見ていないので、見直す必要がありますが、何よりも大切なのはマックスが無事だったということです」
【角田 裕毅(アルファタウリ)】(決勝10位)
「今日はポイント獲得を果たせてとてもうれしいです。
プランに忠実にレースを進めようと、タイヤマネージメントに集中しましたが、うまくやれたと思います。
レースウイークを通じて苦戦していましたし、新フォーマットによって僕のようなルーキーには厳しさが増したと思います。
そうした中でもチームにとって重要なポイントを持ち帰ることができて、満足しています」
【ピエール・ガスリー(アルファタウリ)】(決勝11位)
「正直なところ、言葉になりません。
最終盤までポイント圏内にいたのに、不運なパンクによって残り5周でピットインしなければなりませんでした。
今日のようなレースを終えて、ポイントなしに終わるのはとてもフラストレーションが溜まります。
ただ、その中でも明るい点はいくつかあって、厳しいレースウイークでしたが、今日のレース中盤で、トラフィックを攻略して単独走行していたときのペースはとてもよかったです。
もっと上位で戦い続けたいと思っているので、今週末苦しんだ部分を理解するために懸命に取り組み、ハンガリーではもう一度競争力のある状態に持っていければと思います」
提供:本田技研工業(株)
| 固定リンク
最近のコメント