新型P Zeroハードコンパウンドが登場、フリー走行ではプロトタイプを追加供給 (ピレリ)
(C)Pirelli Motorsport
拡大しますスペイングランプリ プレビュー: バルセロナ 2013年 5月10-12日
2013年5月6日、ミラノ
スペイングランプリには、P Zeroオレンジ・ハードコンパウンドとP Zeroホワイト・ミディアムコンパウンドが選択されていますが、今年のカタロニア・サーキットではいくつかのタイヤに関する変更がもたらされました。それは、戦略の可能性をより広げるためにP Zeroオレンジ・ハードコンパウンドを進化させたことです。その他のコンパウンドに変更はありません。また、タイヤを温存することなく、フリー走行セッションでの積極的な走行を奨励する目的で、プロトタイプのハードタイヤが1セット追加供給されます。このプロトタイプは、レースで使用されるP Zeroオレンジ・ハードタイヤと同一ではなく、各チームができるだけ長く走行することができるよう、耐久性を強化した特製のコンパウンドです。タイヤを識別するため、このプロトタイプにはカラーマーキングが施されません。
ピレリジャパン・プレスリリース
ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター ポール・ヘンベリーのコメント:「今回、変更が加えられたハードタイヤをスペインに持ち込みます。これは2012年型に近い特性を持っています。この新型タイヤは、パフォーマンス面ではやや劣るものの、より広い作動温度領域を提供するため、変更点が無い他のコンパウンドと組み合わせて、各チームが、以前より多様なレース戦略を立案することを可能にします。今回の変更は、これまでの4レースのデータを分析し、Formula Oneをより見応えのあるものにするために決定したものです。我々がFormula Oneに復帰した2011年のスペイングランプリで新型のハードタイヤを導入したように、これは我々にとっては一種の伝統的な流れです。ミディアムタイヤの方が著しく速いと見ていますので、おそらく各チームは予選でミディアムを主体とすると思われますが、決勝ではハードタイヤが中心になるでしょう。レギュレーションで認められているため、フリー走行用にプロトタイプのハードコンパウンドを1セット追加供給します。これによって、全マシンがセッション時間をフルに活用して走行することを期待します。特にルーキードライバーたちが、ファンにその腕前を披露できるよう、全てのチームにフリー走行からできる限り多くの走行を奨励することは、我々がやりたかったことなのです」
ピレリ・ブランド・アンバサダー ジャン・アレジのコメント:「バルセロナは、シーズン開幕後初めて、タイヤを適正に評価できる場所だと思います。それは、特にクセの無いリファレンスとして知られるこのサーキットからヨーロッパラウンドがスタートするからです。ここは非常に複雑ではあるものの、個人的にはドライバーとして好きなサーキットでした。特に、ターン3は非常にタイヤに厳しいところです。オーバーテイクがとても難しかったことを覚えています。そして、DRSとともに、ピレリがバルセロナでのレースを変えたと言えるでしょう。タイヤに大きな負荷を課すトラクションが性能面では鍵となります。今後の戦いのための有益な指標となるので、シーズン中で最も重要なレースのひとつとなるでしょう。フリー走行用の1セットのタイヤ追加供給の導入は、とてもスマートな動きだと思います。マシンがガレージの中で長い時間留まっていることは、Formula Oneにとって良いことではありませんからね。決勝でのハードタイヤの新しい仕様の効果が見られることも、とても興味深く思います。各チームはこのサーキットでの豊富なテストデータを持っていますので、彼らはバルセロナに万全の態勢で臨んでくるでしょう。大きな問題は、昨年以降、気温と路面温度が大きく変化しているため、データがどれだけ活用できるかということです」
サーキットから見たタイヤ:
バルセロナは、流れるような高速でテクニカルなトラックです。高い温度と比較的粗い路面と相まって、タイヤには多くの要素が求められます。とりわけ、大きな横荷重がタイヤをデグレードさせる主な要因となります。昨年同様、3ストップが理想的な戦略となるでしょう。
全長4.655kmのトラックには、16のコーナーが存在し、大半が右コーナーで、特に酷使される左タイヤに負荷がかかります。
昨年は、ハードとソフトが選択されました。しかし、今年のコンパウンドは昨年よりも全般的に軟らかくなっているため、2013年型ミディアムは昨年のソフトとほぼ同じです。昨年のスペイングランプリのトップ5は、全員ソフトでスタート後3ストップ戦略を採りました。2ストッパーの最上位は、最後方からスタート後の8位でした。
テクニカルノート:
バルセロナで速いラップを刻むための鍵は、空力グリップとメカニカルグリップの適正な妥協点を見出すことです。多くのチームが、ターンインをサポートするためにフロントを硬めに、トラクションを得るためにリアを軟らかめにセットアップします。
風向きの変化は、特に最初のコーナーにおいて、マシンセットアップに重要な影響を与える要素です。
このトラックでの過去10レース中9レースがポールポジションからの優勝です。昨年も例外ではありませんでした。予選が極めて重要になるため、フリー走行での1セットの追加供給タイヤは、最適なセットアップのために活用されるでしょう。
ピレリF1チームの紹介:
マックス・ダミアーニ(F1 チーフエンジニア・コーディネーター)
マックスは、ミラノ近郊の小さな町で生まれ育ちました。1991年にピレリに入社後、最初の役割は、世界ラリー選手権においてフォードとトヨタの担当でした。その後、ピレリの乗用車タイヤ(主にSUV用)のテストドライバーとなるものの、モータースポーツへの強い情熱を持つ彼は週末のモータースポーツイベントでの作業を継続していました。2001年以降は、ピレリのレース部門のシニアエンジニアとして、ヨーロッパとアメリカにおけるGTレースなどを含む、様々なチャンピオンシップに携わってきました。ピレリがFormula
Oneに復帰した2011年からは、シニアエンジニアの傍ら、エンジニア・コーディネーターとして活躍しています。若々しい外見にもかかわらず、1991年に終了した前回のピレリのFormula One参画と関わりを持つのは、チーム内でマックスただ一人です。1991年のシーズン中、エンジニアとして、3つのFormula Oneのレースを経験しています。自由な時間には、スポーツすること(特に、Wing Chunという武術やマウンテンバイクのダウンヒル)や、家族と過ごす時間を楽しんでいます。残念ながらピレリのレーシング・マネージャー
マリオ・イーゾラとアマチュアラリードライバーとして競い合う時間的な余裕はありませんので、セバスチャン・ローブも一安心です...
その他のニュース:
Formula Oneのサポートレースとして、バルセロナでは、GP3シリーズの今シーズン開幕戦とGP2シリーズの第3戦が開催されます。この2つのフィーダーカテゴリーもピレリが単独タイヤサプライヤーを務めています。
ピレリのポール・ヘンベリーが、先週行われたイギリスラリー選手権の開幕戦 Pirelli Richard Burns Foundation Rallyを訪れました。レースは、フィンランドのユッカ・コルホネンがピレリタイヤで優勝しました。ピレリは、イベント中、チャリティーイブニングを開催し、2001年の世界ラリー選手権王者で2005年に脳腫瘍で他界したリチャード・バーンズを記念して設立されたリチャード・バーンズ財団への募金活動を行いました。
ベルギーのゾルダーで行われたピレリがサポートするFIA
GTシリーズの最新ラウンドは、チャンピオンシップ史上最も僅差のレースのひとつとなりました。ランボルギーニ(ピーター・コックス、ステファン・ロジーナ)がアウディ(ステファン・オルテリ、ローレンス・ヴァンスール)を、1時間におよぶ闘いの後わずか0.448秒差で破りました。
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