タイヤから見たイタリアグランプリ (ピレリ)
(C)Pirelli Motorsport
拡大しますピレリ、ハードとミディアムとともにホームへ帰る
2012年イタリアグランプリ: 2012年9月7日 - 9日
モンツァ グランプリ概要:
モンツァは‘the temple of speed’として知られる、Formula Oneカレンダー中で最も高速なサーキットです。しかし、ピレリにとっては‘home’に他なりません。
ピレリのミラノ本社から車で30分の距離のRoyal Villa of Monza Park内に位置するThe Autodromo Nazionale di Monza(モンツァ・サーキット)は、1922年に設立され、Formula One史上最も歴史のあるサーキットのひとつとなっています。
幾度に渡る改修の結果、現在の全長5.793kmのトラックになりましたが、卓越した高速性の特長はそのままです。そのため、P Zeroレンジ中で最も硬いコンパウンドの組み合わせである、P Zeroシルバー・ハードとP Zeroホワイト・ミディアムが選択されています。これは、先週末のスパ用の組み合わせと同一であり、モンツァもスパ同様、タイヤに非常に大きな負荷を課します。
ピレリジャパン・プレスリリース
モンツァには、特にタイヤに厳しい場所が3つあります。下り勾配のヘビーブレーキングが特徴のシケイン、迅速な方向転換を要するアスカリ・カーブ、そしてワイドな広角コーナーが特徴でタイヤに大きな横方向の荷重を課す有名なパラボリカです。
これらのチャレンジングなコーナーに加え、モンツァにはシーズン中で最も高速となる複数のストレートがあり、そこではマシンスピードは340km/h に達し、タイヤ温度はピーク時130℃まで上昇します。
平均走行速度が高速のため、コンディションに合った適正なタイヤ選択によって、より速いラップを刻むことが可能になります。そのため、2012年シーズンのヨーロッパラウンド最終戦となるここモンツァでは、タイヤ戦略が極めて重要な役割を演じます。
ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター ポール・ヘンベリーのコメント: 「モンツァは、我々にとってシーズン中で最も重要なレースです。ピレリの母国で、たくさんの情熱的なファンに我々のタイヤとスペシャルなテクノロジーを披露することができるからです。ここには、イタリア特有の特別な雰囲気があります。それだけではなく、モンツァは、高速性とタイヤにかかる大きな横荷重によって、シーズン中で最も厳しいサーキットのひとつと言えます。我々のタイヤが経験する荷重は、スパに続いてシーズン中で2番目に大きなものです。今回、スパからモンツァへ直行するので、各チームは、ハードとミディアムのスピードについて十分理解しているでしょう。一方で、我々がFormula Oneに復帰して以来、最もスリリングなフィナーレを形成しつつあるチャンピオンシップ争いは熾烈を極めています。イタリアでは気温は高くなりそうで、タイヤへの負荷は大きくなります。したがって、2ストップが主流になると見ています。表彰台の行方がファイナルラップで決定した昨年のレースでは、タイヤ戦略が成功の鍵となりました。そして、今年も同様と考えています。フルスロットルで走行する時間が長いので、アドバンテージをもたらす戦略を用いない限り、大きなリードを得ることは困難でしょう」
ドライバーのコメント ダニエル・リカルド(トロ・ロッソ) : 「モンツァはとてもエキサイティングだ。トラックの魅力だけでなく、我々のチームの母国だし、僕のファミリーのルーツもイタリアだからね。ここは、僕にとってオーストラリアでのホームレースに次ぐ2番目に大きなビッグイベントだ。また、ファエンツァにあるトロ・ロッソのファクトリーから大勢の仲間がレースに来てくれることも、レース週末を特別なものにしている。舞台裏でハードワークを行っているたくさんの仲間に会えることがとても楽しみだ。チームには、素晴らしい家族的な雰囲気がある。昨年は、僕にとってF1で初めてのモンツァだった。トラックを良く知っているチームメイトに初めて予選で勝ったので、楽しいレース週末だった。また、昨年はワールドシリーズでも、ここでいいレースをした。今のチームメイトのジャン・エリック・ベルニュとのバトルをエンジョイしたよ。スパ同様、ピレリのハードとミディアムで走行するので、スパでの経験が活かせるだろう。長いストレートとコーナーは、それほどタイヤに厳しくないので、ロジカルなタイヤ選択だと思う。ローダウンフォースで走行することで、タイヤへの負荷がいくらか軽減される。決勝でのピットストップ回数については、もう少し様子を見てみないとね」
ピレリ・テストドライバーのコメント ルーカス・ディ・グラッシ : 「モンツァはどこにも似ていない。例えると、ちょうどモナコと正反対の特徴がある。素晴らしく、シーズン中で最も高速なサーキットだ。本当にエキサイティングな場所だよ。コントロールが容易ではないローダウンフォースで走行すると、ドライビングはとても難しくなる。だから、ダウンフォースとハンドリングの適正な妥協点が重要だ。ヘビーブレーキングが必要だけど、ストレートやコーナーには多くのオーバーテイクポイントがある。トラクションが必要なエリアでは、タイヤに大きな負荷がかかるから、タイヤをケアすることが重要だ。コーナーからストレートへの脱出が上手く行かないと、ラップタイムに影響するからね。モンツァは、トラックの全ての場所でタイヤに厳しいわけではないけど、タイヤに大きな負荷を課すいくつかのポイントがあり、特にパラボリカが重要だ。もうひとつはシケインで、ここでは縁石を使用しなければならない。僕たちは、昨年モンツァでテストした。ハードとミディアムは、とても良く機能したよ。また素晴らしいレースが見られることを確信している」
テクニカルノート:
・ モンツァは、ハイスピードと高速コーナーで有名であるが、タイヤに大きな負荷を課すヘビーブレーキングエリアも存在する。例えば、わずか150mで340km/hから80km/hまで減速する第1シケイン。低速走行時、タイヤは、コーナーでマシンを支える全てのメカニカル・グリップを提供しなければならない。マシンは、ラップ中約75%をフルスロットルで走行し、約15%をハードなブレーキングに費やしている。
・ モンツァでは、シーズン中で最も速い平均速度のため、マシンはシーズン中で最も低いダウンフォースで走行する。各チームは、ドラッグを最小限にする特別な空力パッケージを開発している。さらに、各チームは非常に低いライドハイトで走行するが、バンプ越えでコースアウトするリスクを有している。
・ パラボリカ・コーナーでは、ドライバーには3.7Gの荷重がかかり、タイヤ構造にも大きな負荷を課す。タイヤ構造への負荷は、シケイン通過時の縁石によって、より大きくなる。しかし、タイヤは、これらの負荷に対して準備万端である。ラボラトリーのテストでは、タイヤは縁石上を260km/hで走行している。
イタリアにおけるピレリ:
・ ピレリは、1872年、24歳のジョヴァンニ・バティスタ・ピレリによってミラノで設立され、1897年、二輪レース用タイヤの開発を契機として、モータースポーツへ参画しました。以来、ピレリは、世界第5位のタイヤメーカーへ成長し、160ヶ国以上で約40,000人を雇用しています。ピレリの最初の主要なモータースポーツでの成功は、105年前の1907年に行われた、17,000kmに及ぶ北京-パリ耐久レースです。
・ イタリアにはピレリの3つの工場があります。その中には、トルコでの製造を行う前段階として、Formula One用コンパウンドを研究開発している先進的なセッティモ・トリネーゼ工場があります。ピレリは、母国イタリアで、MIRS (Modular Integrated Robotized System)や最高水準のタイヤコンパウンドを製造する先進システムであるCCM (continuous compound mixing)など、最も革新的なテクノロジーを展開してきました。
・ ピレリは、Formula Oneが創設された1950年以前から、イタリアのグランプリで成功を収めていました。ピレリは、1922年、モンツァで開催された初のレースに勝利し、1925年、アルファロメオとともに初の世界王者に輝きました。シリーズがFormula Oneとして知られるようになると、ピレリは、1950年から1954年まで、Formula Oneのタイトルを独占しました。
その他のニュース:
・ ピレリは、イタリアグランプリの前、バルセロナのカタロニア・サーキットで2日間の開発テストを行う予定です。ピレリのテストドライバー、ルーカス・ディ・グラッシが、ルノーR30テストカーをドライブします。テスト後、ディ・グラッシは、母国ブラジルへ向かい、サンパウロで行われる世界耐久選手権の第5戦に参加します。また、ピレリは、バルセロナのテストで、最新のGP2とGP3タイヤもテストします。ルカ・フィリッピとベン・ハンレーがそれぞれドライブする予定です。
・ ピレリは、イタリアラリー選手権の夏休み明け最初のラウンドであるRally San Martino di Castrozzaの準備をしています。各チームは、ピレリのRX5とRX7ターマックタイヤを使用します。プジョーイタリアのパオロ・アンドレウッチが、現時点でシリーズの首位に立っています。
・ ピレリは、世界スーパーバイク選手権の単独タイヤサプライヤーも務めています。近頃、モスクワ・レースウェイで、ロシアで初めてとなる同選手権の最新ラウンドが開催されました。現在、選手権をリードしているBMWのマルコ・メランドリが勝利しました。
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