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2012/05/19

バーコードの解読 (ピレリ)

(C)Pirelli Motorsport
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2012年5月16日、ミラノ

ピレリは、それぞれのグランプリに約1800本のタイヤを持ち込みます。しかし、タイヤの運命は、サーキットに到着するずっと以前から決定されています。各レース用のタイヤは、グランプリ前に特定の生産工程で製造されます。

レース用タイヤは、トルコ最大の都市イスタンブール近郊のイズミットにある、ピレリの先進的なモータースポーツ用タイヤ工場で製造されます。製造工程において、各タイヤにはFIAが提供するバーコードが割り当てられます。このバーコードは、いわばタイヤの「パスポート」で、加硫工程でタイヤ構造内部に埋め込まれ、取り替えることはできません。このコードは、各タイヤのあらゆる詳細な情報を含み、データを読み書きすることができるピレリのRTS(レーシング・タイヤ・システム)ソフトウェアによって、レース週末を通して、タイヤのトレースを可能にします。

ヨーロッパのグランプリへ向けて、タイヤは、ピレリの物流と流通の拠点であるイギリスのディドコットへ輸送されます。ディドコット到着後、FIAのオフィシャルは、次のグランプリへ持ち込まれるタイヤのバーコードリストを受け取ります。そして、FIAは、バーコードと(そのバーコードが埋め込まれた)タイヤを、ランダムに各チームへ割り当てます。ピレリは、このプロセスには全く関与しません。したがって、ピレリがタイヤの割り当てをコントロールすることはできません。そもそもイズミットの厳格な品質管理プロセスは、工場から出荷されるすべてのタイヤが同品質であることを保証しています。

サーキットへ到着後、タイヤは、FIAによって準備されたバーコードリストに厳密に準拠して、各チームへ供給されます。バーコードによって、FIAとピレリは、各チームがレギュレーションに従い、正しいタイヤを使用していることを確認できます。

各チームには、1年間、専任のピレリエンジニアが配属されます。しかし、エンジニアが参照可能なデータは、彼(または彼女)が配属されたチームに関する週末のデータのみです。したがって、各チームの戦略が損なわれることはありません。開発データは、次世代のタイヤ開発を担当する研究チームを支援するために、すべての情報をモニターするピレリのシニアエンジニアによって監督されています。

ピレリジャパン・プレスリリース

ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター ポール・ヘンベリーのコメント:「決してそのようなことはありませんが、仮に我々がやりたいと思っても、チームへ割り当てるタイヤをコントロールすることはできません。なぜならば、イズミット工場からタイヤが出荷されると、タイヤはFIAの管理下に置かれるからです。これは、単独タイヤサプライヤーとしての我々にとって大きな優先事項である、チーム間の公平性を確保する方法です。また、我々のチームエンジニアが作業する方法も守秘義務を尊重しています。このことは、いつも我々にとって特に重要なことです」

グランプリへのカウントダウン

グランプリ前:
・ ピレリは、FIAの承認を受け、レース用のタイヤ2種類のコンパウンド(硬い方と軟らかい方)を選択します。
・ トルコのイズミット工場にて、タイヤ製造が開始されます。各レース用に、約1800本のタイヤを供給します。GP2やGP3が同時に開催される場合は、700本ほどが追加供給されます。

グランプリ2週間前:
・ ヨーロッパのレースの場合、タイヤは、イズミットからディドコットへ輸送されます。その距離は、約3100kmで、3日間を要します。
・ ディドコットに到着したタイヤからバーコードがスキャンされ、スキャンデータがピレリのシステムへ保存されます。そして、バーコードデータのリストは、FIAに渡されます。
・ FIAは、ランダムにバーコードリストを各チームに割り当てます。そして、ディドコットにおいて、タイヤがチーム毎に分類され、7台のトラック(4台がF1用、3台がGP2とGP3用)に積み込まれ、グランプリ開催地へ輸送されます。

グランプリ1週間前:
・ ディドコットを出発したトラックは、通常、レース開催週の月曜日にサーキットに到着します。18人のタイヤフィッターがフィッティングエリアをセットアップし、ここでもFIAによるバーコードの確認が行われます。
グランプリ5日前:
・ フィッターによるリム組み(フィッティング)作業が開始されます。1本のタイヤをフィッティングする時間は、熟練のフィッターで約2.5分です。週末用の全タイヤのフィッティングには、2日間を要します。各チームが所有するホイールは、サーキットでピレリに渡され、タイヤは、そのホイール上にフィッティングされます。

グランプリ週末期間中:
・ レギュレーションにより、フリー走行1回目終了後、1セットの硬い方のコンパウンドが返却され、フリー走行3回目開始前に、1セットずつの両コンパウンド(硬い方と軟らかい方)が返却されます。さらに、予選開始前に、1セットずつの両コンパウンドが返却されます。したがって、各ドライバーは、予選とレース用に、6セットのドライコンパウンド(3セットずつの2つのコンパウンド)を使用することができます。
・ 返却されたタイヤは、もう使用されないため、リムからはずされます。リムは、チームへ返却されます。

グランプリ後:
・ 新品と中古の全てのタイヤは、リムから外され、ディドコットへ返送されます。ディドコット到着後、タイヤは、セメント工場向けの燃料生成のため、特製のプラントで裁断され、高温焼却されます。このプロセスで生成される原材料は、路面の舗装や、その他の産業製品に活用可能です。

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