タイヤから見たバーレーンGP
注目されるP Zeroミディアムとソフトのパフォーマンス
(C)Pirelli Motorsport
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2012年4月20-22日 バーレーン
グランプリ概要: バーレーンは、今シーズンの開催地の中で、ピレリが未だレース経験の無い3つのサーキットの中の1つです。しかし、ドイツのホッケンハイムやUSAのサーキットとは異なり、ピレリは、Formula Oneへの復帰に向けて準備を行っていた2010年12月と2011年1月に行われた2回のタイヤテストで、サクヒール・サーキットを経験しています。1回目のテストは、砂嵐による走行不能のため中断されました。砂漠の真ん中に位置する中東のサーキットの最も顕著な特徴を示す状況でした。砂は、しばしばトラック上へ運ばれ、グリップを減少させます。しかし、それがいつ、どの場所で発生するのか、予測が非常に困難です。ピレリは、オーストラリア、中国と同じ組み合わせである、P Zeroホワイト・ミディアムタイヤとP Zeroイエロー・ソフトタイヤをバーレーンに持ち込みます。
2012年、サクヒール・サーキットは、全長が延長された2010年のコースレイアウトから、オリジナルの全長5.412kmのコースレイアウトに戻されました。15のコーナーとコース幅が変わるトラックは、十分なオーバーテイクの機会を提供します。ターン1では、マシンは、わずか130m、時間にして3秒の間に時速310kmから時速65kmまで減速するため、トラクションとブレーキングが主な課題となります。タイヤにかかる負荷は、5Gに及びます。砂が運ばれるため、特にレース週末の開始時点では、路面は非常にダーティーである可能性があります。したがって、特にターン4~7への高速でツイスティなセクションでは、ドライバーはレーシングラインを外れないことが非常に重要になります。
ピレリジャパン・プレスリリース
ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター ポール・ヘンベリーのコメント: 「タイヤに過酷な負荷を強いる30℃以上の暑いコンディションのため、バーレーンでは多くの技術的な課題に直面するでしょう。我々は、過去のテスト結果として、このトラックからいくらかデータを収集していますが、当時からタイヤもマシンも大きく変わっているため、ほぼ白紙の状態からのスタートと言えます。しかし、我々は、チームに戦略の試練を与えるような高いデグラデーションレベルを見込んでいます。このサーキットはこれまであまり使用されてこなかったため、レース週末を通して著しい路面の改善が見られると思います。路面上の砂は、取り除くのに時間を要し、グレイニングの一因にもなります。したがって、タイヤマネージメントがバーレーンでも必要不可欠です。特に、リアのトラクションが予選の速いラップ、決勝のペースにおいて鍵となります」
ドライバーのコメント ペドロ・デ・ラ・ロサ (HRT): 「バーレーン・インターナショナル・サーキットは、リアタイヤにとってとてもタフなサーキットだ。大きなトラクションとグリップを必要とする1~3速を使うコーナーがたくさんあって、タイヤに大きな負荷がかかるからね。だからこそ、タイヤテストの場所として適していると言える。ピレリのテストドライバーとして、ここで2回テストをしたよ。素晴らしい経験だったし、とても楽しかった。砂嵐にも遭遇したけどね!僕は、雨やひょう、雪も経験したけど、Formula 1マシンで砂嵐に出くわすとはとても信じられなかった。ブレーキにもとてもタフなサーキットで、ターン1、ターン4、そしてファイナルターンでは、7速から2速までダウンするようなとてもハードなブレーキングが必要になる。1kmを超えるメインストレートの他に、ターン3と4の間、ターン13と14の間にも長いストレートがあるから、オーバーテイク機会も多いサーキットと言える。DRSの活用がとても重要だ。DRSとスリップストリームによって、オーバーテイクは容易になるからね。バーレーンの風は、マシンの動作とブレーキングに大きな影響を与える。時速320kmから時速70kmまで減速する時、ほんのちょっとでもラインを外したら、タイヤをロックさせてフラットスポットを作ってしまう。バーレーンのターン1ではよく見られるシーンだよ。十分なブレーキングとトラクションが得られるよう、タイヤの接地面を最大限にするために、キャンバー角をできるだけ小さくするようトライしなければならない。ストレートが多いから、ダウンフォースも小さくした方がいいね。ピットストップに関しては標準的なサーキットだと思う。今年のタイヤは長もちするし、ピレリの新型プロファイルはタイヤを最大限に活用できるようになっているから、2回ストップが主流になると思う」
ピレリ・テストドライバーのコメント ルーカス・ディ・グラッシ : 「バーレーンにはとてもいい思い出がある。2010年、ヴァージンのFormula Oneレースドライバーとしてデビューした場所だからね。バーレーンは、タイヤとマシンセットアップにとって、とてもチャレンジングだ。何本かの長いストレートがあるから、バランスの取れた妥協点を見つけなければならない。だけど、最大限のトラクションを得ることが、速いラップを刻むためには絶対的なキーとなると思う。予選では、タイヤとともにDRSを効果的に活用することが不可欠だね。特に、ストレートへ向かうコーナーからの速い脱出は、ラップタイムを速くするための確実な方法だ。スピンしてしまったら、タイヤを痛めてしまってスローダウンすることになる。バーレーンは、路面の改善について全く予測できないサーキットだ。砂が大きな要因だ。砂が路面に運ばれてしまうと、グリップが減少してマシンがスライドしやすくなり、タイヤの摩耗を増大させることになる」
テクニカルノート:
・ アスファルト路面は、イングランドから輸入された60,000トンの花崗岩によって構成されている。路面がクリーンな状態では高いグリップを提供し、粗さは中程度に分類される。
・ バーレーンで最も成功しているドライバーは、フェルナンド・アロンソで3勝を挙げている。他の優勝者は、フェラーリのチームメイトのフェリペ・マッサ、ミハエル・シューマッハ、ジェンソン・バトン。
・ 最初のコーナーは、重要なポイントの一つ。ストレートへ繋がるターン2を最大限に活用するために、ターン1をクリーンに脱出することが重要になる。スタートが勝敗を左右する。
これまでのタイヤ選択:
バーレーンにおけるピレリ: ・ バーレーンのピレリオフィスは、首都のマナマにあります。バーレーンにタイヤ製造工場はありませんが、この地域では、スポーツカー用のP Zeroウルトラ・ハイパフォーマンスレンジとSUV用Scorpionレンジがベストセラーとなっています。
・ 昨年、ピレリは、初めてGP2のタイヤ・サプライヤーになりました。今年、GP2は、バーレーンにおいてダブルヘッダー(今週末と来週末)で開催されます。
・ 2011年用スリックタイヤの仕様確定のため、2010年12月、バーレーンで5日間予定されていたピレリの初テストは、砂嵐によって中断され、翌年1月に3日間のテストが行われました。ペドロ・デ・ラ・ロサとともに、ロマン・グロージャンが、バーレーンのテストでピレリのテストカーであるトヨタTF109をドライブしました。その他のニュース: ・ ピレリは、先頃、北米における「J.D. Power and Associates 2012 Original Equipment Tire Customer Satisfaction Study」の’performance sport’カテゴリーでトップに評価されました。J.D. Powerのサーベイは、自動車産業において最も高く評価されている独立調査の一つで、自動車オーナーが自身の所有する車についてどのような感想を持っているのかを戦略的に明らかにするように設計されています。
・ ピレリが今年初めて単独タイヤ・サプライヤーを務めるFIA GT選手権が、フランスのノガーロで開幕し、アウディのステファン・オルテリとローレンス・ヴァンソールが優勝しました。レースは、ピレリのフルレンジのタイヤ使用が必要となるウェットとドライのコンディションで行われました。
・ 先週、GP3のシーズン前最終テストがシルバーストンで行われました。ドライバーは、ピレリのハードGP3タイヤとレインタイヤを使用しました。ニュージーランドのミッチ・エヴァンスが最速タイムを記録しました。ピレリが単独タイヤ・サプライヤーを務めるGP3シリーズは、5月11~13日のスペインGPの週末に開幕します。
・ ピレリは、CSAI(イタリアモータースポーツ連盟)と協力し、イタリアラリー選手権において、プジョー207 S2000による、少なくとも4つの全額支給のイベントを若手ドライバーへ提供します。この最初の奨学金受賞者は、25歳のステファノ・アルベルティーニで、バーレーンGPのレース週末に行われるミッレミリアラリーでドライブします。
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