タイヤから見たオーストラリアGP (ピレリ)
(C)Pirelli Motorsport
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2012年3月15日、メルボルン
ピレリは、単独タイヤ・サプライヤーとしてのF1シーズン2年目を、一新されたタイヤレンジで臨みます。タイヤの変更は、マシンの設計に大きな影響を与える新しい空力および技術的レギュレーションに対応して行われました。
吹きつけ排気が禁止され、排気口は、昨年より高く、より前方の位置となります。以前の吹きつけ排気は、ドライバーがスロットルを閉じている時にもリアタイヤのグリップを高めるために使われていました。
この措置は、マシンの基礎的なバランスを変え、タイヤの使用方法にも影響を与えます。空力は、これまでと異なるかたちでマシンに作用し、タイヤにかかる負荷を変え、ドライバーのフィーリングにも変化を与えます。また、多くのマシンが段差ノーズを採用しています。
マシンのフロントにより大きな荷重をかけることにより、ベターなターンインとコーナーにおける高いドライビング精度が得られます。また、中速から高速におけるハンドリングが改善されます。
しかし、あまりにフロントへ荷重を移動させてしまうと、リアが弱くなり、リアタイヤは、コーナーでのスライドや加速時のホイールスピンを防ぐために酷使されることになります。
オーバーステアやホイールスピンが発生する状況下でリアをコントロールするドライビングは、全てのタイヤに大きな負荷を与え、フロントとリア両方のタイヤ温度の上昇を招きます。その結果、リアの摩耗が激しくなり、レース中のマシンバランスは、オーバーステアぎみになっていきます。
ピレリジャパン・プレスリリース
ピレリは、リアタイヤのグリップを高め、そして、さらにワイドな接地面を提供するために、より「スクエア」なプロファイルを採用してこの問題に対応しました。新しいプロファイルは、タイヤのフットプリント全体に負荷を均等に割り当てるように設計されており、エクストリームな条件下においても、最新の技術的制約を補う働きをします。同時に、新型タイヤは、リアタイヤのグリップ力減少に対処するために次第に複雑でアグレッシブになるドライビングスタイルにも効果があります。
タイヤに関するもう一つの重要な2012年レギュレーションとして、レース週末用の11セットのタイヤ・アロケーションが金曜日から使用できるようになることが挙げられます。これは、ドライバーがタイヤをセーブするために走行量を少なくしてしまうことを避けるために導入された措置です。これによって、より多くの走行が見られるようになるでしょう。
最後に、今年のピレリのカラーマーキングはより目立つようになり、雨天用タイヤはCinturatoという新しいネーミングとなりました。
メルボルンにおけるタイヤにとってのチャレンジ: アルバートパークでのタイヤ寿命は、週末を通して、サーキット上にラバーが乗り、徐々に速い走行が可能になることによって大きく変化します。
58周で争われる5.303kmの半常設サーキットにおいて、キーとなる要素はトラクションです。各チームは、連続するコーナーと短いストレートに対応するため、比較的高いレベルのダウンフォースをセットアップします。コーナー出口でのオーバーステアは、スライドが摩耗を助長するため、特にリアタイヤにとっての問題となります。一方、フロントタイヤも周回を通して多くの負荷にさらされています。
タイヤとマシンにとって、特に厳しいポイントはターン2です。ドライバーは、わずか2.5秒、108mの距離で時速200kmもの速度を減速します。ドライバーには5Gの減速Gがかかり、フロントタイヤは1150kgの縦方向の荷重により押し付けられます。
ターン11と12は、アルバートパークにおける2つのキーポイントです。コーナー出口付近のスピードは、210km/hほどです。負荷がかかるコーナー外側フロントタイヤの温度は約105℃となり、外側ほど厳しくない内側フロントタイヤの温度は約100℃になります。リアタイヤは、100℃を超えるレベルで動作します。
もう一つの重要なエリアは、ターン14と16の間のブレーキングゾーンです。マシンのフロントに大きな負荷がかかる場所で、メインストレート前のタイトなシケインへと繋がっていきます。メインストレートは、7速で300kmとなる唯一の場所で、左リアタイヤの温度がピークになります。
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