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2012/01/30

ピレリ:2012年F1シーズンへ、「よりスクエア」な形状で、より競争力のあるタイヤを供給

2012年1月25日 アブダビ

2012 Pirelli F1 Tyre(C)
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・最新世代のマシンへ供給するタイヤラインナップを一新
・チームの幅広い戦略を可能にし、少なくとも2回のピットストップ維持を目指す
・マシンの新しい空力セットアップを補うために、 より角ばったプロファイルとより柔らかいコンパウンドへ
・P ZEROスリックコンパウンドとともに、雨天用タイヤに1951年のF1デビュー時に使用された CINTURATO(チントュラート)の名前が復活
・サイドウォールのカラーは、コンパウンドの違いをよりビジブルにするために変更
・ピレリが設計した初のF1タイヤ仮想データベースによって、 タイヤ性能、温度、圧力のデータを、チーム、エンジニア、ピレリの研究者へリアルタイムに提供

ピレリは、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットにおいて、第63回FIA世界選手権用のタイヤラインナップを発表し、単独サプライヤーとして2年目となる2012年F1シーズン活動を開始しました。吹きつけ排気に関する最新の空力規制に対応するために、ピレリが各チームと協力し、開発した新タイヤのキーとなる特徴は、よりスクエアなプロファイル、向上したグリップ、より柔らかで、一貫したデグラデーションのある、競争力の向上したコンパウンドとなっています。

2012年用タイヤの目的は、2~3回のピットストップとチーム戦略への影響力を増すことにより、チェッカーフラッグまで予測不可能な魅力あるレースを確実なものにすることです。サイドウォールのカラーマーキングは、より大きくなり、違いが分かりやすくなりました。また、F1の歴史上象徴的なCinturato(チントュラート)という名称が復活します。これは、1950年代にピレリがF1に参戦し勝利したタイヤの名称です。
2012年より、Cinturatoは、ウェットタイヤとインターミディエイトタイヤのマーキングに使用されます。

Pirelli "Cinturato"(C)
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いくつかの新しい機能とともに、ピレリのレーシングタイヤシステムも復活します。これは、各タイヤの動作や性能を記録するためにピレリのエンジニアによって開発されたものです。
記録された情報は、各チームとFormula One Management(FOM)で共有されます。

ピレリジャパン・プレスリリース

本日の国際記者会見の席上、マルコ・トロンケッティ・プロヴェーラ(CEO&プレジデント)、ポール・ヘンベリー(モータースポーツ・ダイレクター)、マウリツィオ・ボイオッキ(R&Dダイレクター)によるプレゼンテーションが行われました。

マルコ・トロンケッティ・プロヴェーラのコメント:「昨年のポジティブな経験後、各チームは、2011年の素晴らしいレースに貢献した特性を持つタイヤの継続供給を我々に求めました。そして、これが我々の成果です。2011年のP Zeroシリーズの特徴である意図的なデグラデーションと組み合わせて、より良い、安定した性能を保証するために、コンパウンドとプロファイルを最適化しました。我々は、多岐に渡る戦略と数多くのピットストップなど、昨年、レース参加者と観衆を魅了した予測不可能なレースを期待しています。我々のエンジニア達の素晴らしい習熟度と反応時間の速さによって、新コンパウンドの開発作業は、2011年シーズン中に行われました。そして、彼らは、今シーズンもタイヤの進化を継続させる準備が出来ています」

2012年へ向けて: より競争力のあるコンパウンドと「よりスクエア」なタイヤ

昨年同様、ピレリは、4種類のスリックタイヤ、スーパーソフト、ソフト、ミディアム、ハードと、FIAルールで規定された2種類の雨天用タイヤを供給します。全てのP Zeroスリックタイヤは、2011年と比較して新しいプロファイルとなっており、ソフト、ミディアム、ハードの3種類は、新しいコンパウンドになっています。新コンパウンドは、より柔らかく、グリッップが向上しており、より高性能で性能のピークがより持続します。ただし、全体的なタイヤの寿命に変化はありません。

雨天用タイヤについて、ウェットタイヤのCinturatoブルーには変更が加えられましたが、インターミディエイトタイヤのCinturatoグリーンに変更はありません。 また、昨年から変わらない点は、ピレリの6種類のタイヤが共通して持つ基礎的な特徴である、安全性、信頼性、内部構造、ドライビング精度、コンパウンド間での異なるデグラデーションカーブです。ピレリの研究開発手法にも変更はありません。2012年用タイヤの設計、テストには、昨シーズンを通してP ZeroとCinturatoの開発に貢献したチームやドライバーからのフィードバックが大いに役立てられています。サーキット上でのテスト結果は、シミュレーション上のデータと統合されます。シミュレーションは、F1カレンダーを構成する20のサーキットの路面や天候状態におけるタイヤの動作や性能を再生、予測することが出来ます。
2012年へ向けたピレリタイヤの進化は、吹きつけ排気に関するFIAのレギュレーション変更も考慮されています。 この新たな措置は、各タイヤに作用する空力ダウンフォースを低減させ、より幅広く、より平らな接地面を必要とします。各タイヤがより角ばったショルダーとより柔らかいコンパウンドを持つことにより、この要求は満たされ、さらなるグリップとより高いパフォーマンスを生み出すのです。全てがより高い性能となった異なるコンパウンド間の性能差にも変更が加えられました。2011年シーズン中は、異なるコンパウンド間で、1周あたり1.2~1.8秒の性能差がありました。今年の目標は、これを1秒以内、0.6~0.8秒にすることです。

新シーズンのためのコンパウンドは、ピレリのエンジニアによって2011年タイヤで既に実現した進化を受け継いでいます。新コンパウンドは、ミラノのピレリ研究開発部門で仕上げられました。その際、昨年のセパン、モントリオール、シルバーストン、ニュルブリクリンク、アブダビ、インテルラゴスのフリー走行や、昨年11月のアブダビでの若手ドライバーテストにおいて収集された情報が活用されました。テストには、合計6,000本のタイヤが使用され、走行距離は11,000kmに及びます。さらに、ピレリは、イスタンブール、バルセロナ(2回)、ヘレス、モンツァで、合計9,000kmを走破した5回のプライベートテストを行っています。

ピレリの新型F1タイヤは、2月7日、ヘレスにおける2012年シーズン最初の公式テストでデビューを迎えます。

レーシングタイヤシステム: ピレリは、各タイヤのパスポートを作成

2012年用タイヤを開発するため、ピレリのエンジニアは、レーシングタイヤシステム(RTS)を最大限に活用しています。RTSは、テストやレース中の各タイヤの性能データを収集し、解析するコンピュータシステムです。ピレリのIT部門で開発されたRTSは、使用時のあらゆる局面におけるタイヤの性能、摩耗、動作をモニタリングすることを可能にします。さらに、RTSは、製造段階からサーキットまで、リアルタイムに使用状態、性能、摩耗率などの情報を更新しながら、タイヤの生涯を追跡します。ピレリの全レース用タイヤが製造されるイズミットの工場で製造後、RTSが各タイヤの製造データをパスポートのように登録します。タイヤがサーキットに到着し、マシンに装着後、情報が収集されていきます。この時点から、タイヤの温度、圧力、摩耗率など全ての情報が登録され、特殊なタブレット型コンピュータを使用して、サーキット上のピレリエンジニア、ミラノの研究開発部門、各チームが情報に即座にアクセス出来るようになります。このようにして、各マシンの性能の分析と将来のタイヤ開発のためのスタート地点を形成する仮想データベースが構築され、絶え間なく更新されていきます。

Cinturatoが復活: 1950年代のチャンピオン

2012年シーズンは、世界モータースポーツの最高峰にCinturatoの名称が復活した年として刻まれます。この名称は、F1のみではなく、タイヤ製造の産業史にも繋がっています。Cinturatoは、1951年、ファン・マヌエル・ファンジオのAlfa 159でデビューし、彼を選手権王者へと導きました。そして、MaseratiやFerrari 375に装着されていたもう一つのピレリタイヤStella Biancaとともに、しばしば表彰台に上りました。Cinturatoは、F1で1950年代半ばまで戦い、その後は乗用車用タイヤとして、当時の最先端技術を搭載したスポーツカーで使用されました。

Cinturatoタイヤは、乗用車用タイヤの最前線にいた1960年代を通して、自動車産業におけるベンチマークとして、その名前を刻みました。1950年代にCinturato用に開発された革新的技術は、その名前をラジアルベルト(イタリア語で‘cintura(チントゥーラ)’)から取っています。ラジアルベルトは、放射状に配置されたタイヤカーカスを締め付ける役割を持ちます。当初は織物繊維から作られ、後に金属から作られるようになりました。この技術革新は、1960年代以降、速いコーナリングスピードに対処することができる、より幅広いタイヤへの道を切り開きました。今日、ピレリのF1における雨天用タイヤの名称を表すとともに、Cincuratoは、世界的タイヤ産業における最も成功した製品名の一つでもあります。Cinturato P7 は、性能、安全性、耐久性、省エネルギーというピレリのブランド価値を完璧に表現する製品です。

ピレリのF1チーム

ピレリは、2012年F1世界選手権用として、合計45,000本のタイヤを供給します。世界モータースポーツ界最高峰用のタイヤは、世界屈指の最先端工場である、トルコのイズミット工場内の専用設備で製造されます。ピレリのエンジニアは、グランプリレースの要求を完璧に満たすタイヤを作るために、最先端のマシンと革新的技術を、この工場に投入しています。

レース時および公式テスト時におけるピレリのF1チームは、エンジニアから技術者まで、総勢50名のスペシャリストにより構成されています。各F1チームに対して、ピレリから1名の専任エンジニアと数名の技術者およびフィッターがアサインされます。 ピレリF1チームは、世界各国からの人々で構成されていますが、ミラノのピレリ技術開発本部を本拠地としています。この技術開発本部は、常にピレリグループの最先端技術の中心であり、1,000名の研究者を雇用しており、世界5箇所に研究所があります。モータースポーツは、ピレリの最も重要な研究室です。ピレリグループのタイヤ部門における業界の代表的な革新的技術はここから生み出されてきました。

F1へのタイヤ供給契約は、モータースポーツ界におけるピレリの名を最高峰に位置づけています。ピレリは、1907年の北京-パリロードレースで勝利して以来、モータースポーツの世界と関わりを持ってきました。また、ピレリは、2輪および4輪ともに、世界の重要なモータースポーツ世界選手権の単独サプライヤーでもあります。4輪では、GP2、GP3シリーズ、2輪では、世界スーパーバイク選手権です。さらに、ピレリは、70の国内、国際レースとラリーシリーズにタイヤを供給しています。世界ラリー選手権には、2008-2010まで単独サプライヤーとして参画していました。

F1とサスティナビリティ

最高基準の性能と安全性を環境配慮と組み合わせた製品やソリューション設計に特化した、ピレリのプレミアム戦略に続き、F1タイヤ供給契約は、環境のサスティナビリティ基準を含んでいます。ピレリの他のモータースポーツタイヤと同様に、P Zeroの生産工程からもアロマオイルは一切排除されています。イズミットで採用されている産業プロセスは、エネルギーと水の効率や、二酸化炭素などの有害物質の排出削減を基盤としています。
タイヤ生産時の残滓と使用済みタイヤの再利用にも特別な注意が向けられています。廃棄物処理規定には、使用済みF1タイヤを新たな主原料の生成またはエネルギー生成に再利用することが盛り込まれています。

2011年シーズンに製造されたタイヤは、レース用28,600本、テスト用6,000本でした。これらは全て再利用されています。
ピレリのサスティナビリティへの注力は、ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティSTOXXとダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・ワールド・インデックスにおける最近の動向にも現れています。ピレリグループは、ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・ワールド・インデックス’Autoparts and Tires’部門において6年連続トップに位置づけられています。

中東におけるピレリ

ピレリは、中東におけるマーケットリーダーの一員です。この地域では、過去数年間、ピレリがリーダーとなっているウルトラ・ハイパフォーマンスセクターの売上が一貫して増加しています。ピレリの中東本社はドバイにあり、ヨーロッパから、最もプレステージャス・レンジである P Zeroファミリーを輸入しています。これらは、現在販売されている最もパワフルなスポーツカーである、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、アストン・マーチン、ベントレー用に開発されたものです。また、ピレリは、エジプトのアレクサンドリアの工場で製造されるバスやトラック用のタイヤで、この地域のマーケットにおける力強い存在感を示しています。トルコのイズミットにある産業と流通のハブは、乗用車用および商用車用タイヤを供給するとともに、中東マーケットにおけるサービスの基盤となっています。

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