タイヤから見たブラジルGP
(C)Pirelli Motorsport
拡大します 201年1月24日、インテルラゴス
ピレリの20年ぶりのF1復帰初年度は、インテルラゴスで最終戦を迎えます。インテルラゴスは、カレンダー中で最も1ラップ距離が短い部類に入ると同時に、最もスリングなサーキットのひとつでもあります。オースラトリアでの開幕からちょうど8カ月が経ち1963年以来、最も遅いF1シーズンの閉幕となります。
71周で争われるブラジルGPには、多くの特殊な要素が含まれています。反時計回りのレイアウトや、スタート・フィニッシュ・ストレートが上り勾配であること(スタート時にアンチストール機能が作動してしまう危険性を高めます)、変化に富んだアップダウンなどがその好例で、ロード・サイクリングのレースコースとしても知られています。
それでは、タイヤから見たアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(正式名称としてはこちらが使用されています)の鍵となるポイントを紹介していきましょう。
サーキットについて:
スタート・フィニッシュ・ストレートはサーキットの最も高い位置にあり、すぐに下りのセナ・エスへと入っていきます。クルマの安定性が非常に重要な複合コーナーで、絶好のオーバーテイクポイントでもあります。
マシンはそこからフル加速して、250km/hでクルヴァ・ド・ソルへとアタックし、こでは横方向に4Gもの力が発生します。このコーナーを駆け抜ける際、タイヤの構造、コンパウンドともに非常に大きな負荷がかります。
レタ・オポスタのストレートでは、最高速度は310km/hに達します。路面はバンピーで、マシンは不安定になりがちです。タイヤの構造が路面のバンプを吸収し、車体の垂直方向の動きを抑えることによって、マシンは路面に完全に接地し、ブレーキグエリアとその後に続くコーナーへ向かっていきます。
ストレートの後には、2~3速で走る低速コーナーが連続します。ここではどのドライバーも縁石を使います。低速ゆえダウンフォース発生量は少なく、トラクション性能が非常に重要となります。そのため、このコーナーが連続する区間を駆け抜ける間、タイヤは最大限のグリップ性能を発揮し続けなければならないのです。
スタート・フィニッシュ・ストレートへと再び上り坂を駆け抜けていく区間は、ますます高速になっていく左コーナの連続で、タイヤには多大な負荷がかかります。メインストレートへ正確に立ち上がって行くために、最終コーナーは出来るだけ早くパワーをかけることが重要です。こでも、エンジンのトルクをグリップに変えて路面に伝えために、タイヤは重要な役割を果たします。路面は205年に再舗装され、バンピーさが以前より解消されています。
ピットレーン通過に要する時間が20秒以下と短いため、ピットスップ戦略の助けになるでしょう。
ピレリジャパン・プレスリリース
乗用車用タイヤと競技用タイヤ:
ピレリは、ブランドの知名度向上と乗用車用タイヤの販売拡大を目指してF1に参戦しましたが、F1用P Zeroタイヤと、市販されているのではどれほど違うものなのでしょうか? レース用のP Zeroタイヤは、通常の乗用車用タイヤよりも幅広で、内部構造は剛性が極端に高く、ショルダは高くなっています。対照的に、乗用車用タイヤは、長寿命を実現するため、トレッドパターンの深さとコンパウンドの硬さが特徴です。
乗用車用のP Zeroタイヤが数千kmを走ることができる一方で、競技用タイヤは100kmほどしか走ることができません。しかしそれは、最も劇的な使い方す。F1用P Zeroの接地面は、高速行時にダウンフォースがフルにかった時には3倍にも広がりますが、乗用車用タイヤの接地面はほとんど変化することがありません。
競技用P Zeroタイヤは、性能を最大限に高めることを前提に、4Gもの横Gがかるような高速コーナーでも最高のグリップを発揮するよう設計されていのです。
その際に発生するグリップ力は、乗用車用の4倍にもなり、このF1用タイヤの路面への粘着力は、100℃以上にも達する作動温度によって最大限に高められているです。乗用車用P Zeroタイヤは、コンパウンドがより硬いため、作動温度は40℃以下となっています。
F1用P Zeroタイヤの優れたグリップは、ブレーキ性能にも表われます。乗用車の減速Gは1Gほどですが、F1マシンは5Gもの減速Gを発生させます。30km/hから80km/hまで、約3秒で減速してしまうのです。
雨天用タイヤに関しては、違いはより明白です。濡れた路面では、ピレリの雨天用タイヤは1秒間に60 リットルの水を排水することができます。さらに、柔らかいコンパウンドと空力的なダウンフォースよって、接地面はドライな状態となり、高速走行時でも素晴しロード・ホールディング性能を発揮し、ドライバーのマシンコントロールを可能にしています。
一方で、乗用車用のタイヤの排水性能は秒間13リットルほどですが、通常のコンディションでの運転であればどのような種類クルマであっても、この性能で完璧な安全性が保たれます。
しかし、F1は通常のコンディションとはかけ離れています。レースの世界において特別に磨かれてきたタイヤの驚くべきグリップ性能によって、マシンはパワーと加速性能を最大限発揮することができるのです。
乗用車は、静止状態から60km/hまで加速するのに2秒半かりますが、F1マシンならばその間に100km/hまで達します。いずれのクルマも、そ5秒後には倍のスピードに達しています。両者のタイヤのグリップ、ロード・ホールディング性能には非常に大きな差があります。F1の厳し要求に応えられるは競技用のP Zeroタイヤをおいて他にありません。
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