2011年 アブダビGP :ピレリとP Zeroコンパウンド、全ての原点へ戻る
(C)Pirelli Motorsport
拡大します 2011年11月7日、ミラノ
グランプリ概要:
アブダビのヤス・マリーナ・サーキットは、ピレリにとって非常に大きな意味のある場所です。昨年のシーズン終了直後、各チームがP Zeroコンパウンドを初めてテストした場所なのです。
その時の2日間のテストや、その他のピレリによるテストセッションも含めると、これまでに幅広い種類のP Zeroタイヤをテストしており、この全長5.554kmのサーキットがピレリにとって最もF1経験の多い場所だと言えるのです。
ピレリは、今週のアブダビGPに、P Zeroホワイト・ミディアム・タイヤとP Zeroイエロー・ソフト・タイヤを持ち込みます。この選択は、21のコーナーと2本の長いストレートで構成されるこのサーキットに非常に良く適しているはずです。
アブダビGPは他とは異なり、夕暮れの中でスタートし、夜間にフィニッシュを迎えます。したがって、路面温度は下降し、その後は安定するため、タイヤの寿命は延びます。レース週末を通して、周囲の砂漠から飛んで路面に積もっていた砂が清掃されることもあり、ある程度の路面の良質化も進みます。ただし、砂は夜間に再び路面に舞い落ちるため、路面は毎日汚れた状態からの再スタートとなります。
長いストレートは、タイヤのショルダー内部に大きな負荷を生じさせます。ラップ序盤のターン2、3、4と流れるように続くコーナーの連続も、タイヤ性能を試す良い試練となります。
通常、各チームには、レース週末に11セットのスリックタイヤ(ミディアム6セット、ソフト5セット)、4セットのインターミディエイト・タイヤと3セットのウエット・タイヤが供給されます。今回は、金曜フリー走行時に、試験用のソフト・コンパウンドが2セット追加提供されます。
レース後には、11月15日~17日まで、3日間の若手ドライバーのテストが行なわれます。各チームは、4種類のスリックタイヤを、各チーム年間100セットというテスト用タイヤの枠組みの中で自由に選ぶことができます。それに加えて、ピレリは2012年に向けたプロトタイプのタイヤをいくつかテストする予定です。
ピレリジャパン・プレスリリース
ピレリ・モータースポーツ・ダイレクターのコメント ポール・ヘンベリー:「シーズンのこの段階において、我々が重要視しているのは来年に向けたタイヤ選択の微調整です。フリー走行や若手ドライバー・テストに新型タイヤをいくつか投入するのは、そのためなのです。シーズン中にはテスト機会がほとんどありませんから、今年とは少し異なる特性となる2012年に向けたタイヤを開発する上で、これは我々にとって重要なデータ収集の機会なのです。我々は、テスト地としてヤス・マリーナ・サーキットには非常に精通しています。ですから、今週末のタイヤ選択は、サーキット特性に適していると自信を持っています。アブダビは、本当に素晴らしい設備を備えており、オーバーテイクポイントもいくつかあります。我々の1周年をここで迎えられて、非常に嬉しく思っています」
F1ドライバーのコメント ペドロ・デ・ラ・ロサ(マクラーレン・メルセデス):「シーズン開幕前にピレリのテストをして、アブダビには素晴らしい思い出があるよ。多くを学び、今シーズンがどのようになってくかを感じ取り、とてもポジティブな仕事ができたんだ。今シーズンのF1が成功した理由のひとつは、ピレリとタイヤのデザインによるところが大きい。去年よりもピットストップ回数が増え、デグラデーションが大きくなったことでレースがさらにエキサイティングになったんだ。アブダビはスムーズな路面で、タイヤにはそんなに厳しくない。特にリアには厳しくなくて、デグラデーションも限定されている。だから、ハード側のコンパウンドのウォームアップには時間がかかるかもしれないし、ソフト・タイヤの方が上手く機能すると思う。ソフトがレースで多用されることになるだろう。でも、最新のF1マシンは、僕たちがテストに使用していたクルマに比べれば、ダウンフォースの量も大幅に増えているから、状況も変わってくるかもしれないね。今年僕が学んだことのひとつは、心を広く持ち、レース中タイヤの変化に対して極めて迅速に対応しなければならない、ということだ。韓国GPでもそうだった。スーパーソフトとソフトという選択は、みんながアグレッシブ過ぎると思っていたけど、ピットストップは2回だけで、実際には素晴らしい選択だったんだからね。みんなアブダビでのレースを今回も楽しめるだろう。2つのオーバーテイクポイントがあり、素晴らしいサーキットだよ。いくつか高速コーナーもあり、シケインへのヘビーブレーキングや、低速で技術的に難しい最終セクターもある。アブダビでもうひとつ優れているのは、良質なアスファルトのランオフエリアが多くて、非常に安全だという点だね。だから、大きなリスクを冒すことなく、何かを試したりもできるんだ」
テクニカルノート:
*多くのサーキットがそうであるように、アブダビも1km以上の長いメインストレート上の最高速と、ブレーキング時の安定性やダウンフォースグリップを両立させるため、ミディアム・ダウンフォースでの妥協が必要となる。
*高速での切り返しは比較的少なく、ヤス・マリーナ・サーキットにおける重要なポイントのひとつであるトラクション性能を高めるために、エンジニアたちはマシンのリアを柔らかめにセットアップする傾向がある。レース週末の開始時点では、路面に埃が乗っているためグレイニングが発生しやすいが、P Zeroタイヤは、これまで非常に高い耐グレイニング性能を証明してきている。
*アブダビは、海抜が海水面に位置しており、気圧が高い。そのためエンジンパワーが出やすく、レースが進むにつれて気温が下がるのを促進してもいる。
アブダビでのピレリ: *ピレリは、2011年1月にこのアブダビでテストを行ない、夜間ウエットコンディションの下、F1マシンで走行した初めてのタイヤメーカーとなりました。この際、路面は、14万リットルの水で人工的にダンプ状態にして使用されています。
*トロロッソのハイメ・アルグエルスアリは、昨年アブダビで最終戦後に行なわれた2日間のテストにおいて、ピレリ・タイヤをサーキットでテストした最初のドライバーとなりました。この時、フェラーリのフェルナンド・アロンソが最速タイム1分40秒529を記録しています。
*ピレリの中東オフィスは、ドバイで絶大な売り上げを誇っています。最も売れているのは、パフォーマンスカーやスポーツカー用にデザインされたP Zeroシリーズや、世界で初めて燃費とCO2排出量の削減など環境性能を視野に入れてデザインされた、パフォーマンスSUV用タイヤのスコーピオン・ヴェルデです。
これまでのタイヤ選択:
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