タイヤから見た日本GP
(C)Pirelli Motorsport
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2011年10月6日、鈴鹿
日本の鈴鹿は、これまでに何度もチャンピオンシップ争いの舞台となってきました。
しかし、今年は、セバスチャン・ベッテルは、1ポイント獲得すれば2年連続のタイトル獲得が決定します。2年連続チャンピオンの栄冠を手にしたのは、次の限られたドライバーたちのみです:
アルベルト・アスカリ(1952-53) いずれもピレリ・タイヤによる王座獲得
ファン・マヌエル・ファンジオ(1954-55) 54年はピレリ・タイヤによる王座獲得
ジャック・ブラバム(1959-60)
アラン・プロスト(1985-86)
アイルトン・セナ(1990-91)
ミハエル・シューマッハ(1994-95、2000-04)
ミカ・ハッキネン(1998-99)
フェルナンド・アロンソ(2005-06)
まずベッテルに必要なことは、ピレリのPZeroイエロー・ソフト・タイヤとPZeroホワイト・ミディアム・タイヤを使用して、厳しい鈴鹿の53周のレースを走り切ることです。
週末のコンディションは、ドライのままと予測されていますが、鈴鹿は、海に近いロケーションにあるため、雨天となるリスクもあります。昨年は、土曜日の雨により、予選が日曜日の午前に順延されました。もちろん、ピレリのPZeroブルー・インターミディエイト・タイヤとPZeroオレンジ・ウエット・タイヤは、いつも通り、雨天に備えて用意されています。
どんな天候であれ、鈴鹿でのF1は、タイヤにとって最も変化に富んだレースのひとつです。その理由をご紹介していきましょう。
ピレリジャパン・プレスリリース
サーキットについて:
ラップの序盤にあるS字コーナーは、高速コーナーの連続によって構成されるセクションです。タイヤには、長時間にわたって横方向の加速力がかかるため、タイヤショルダーは、グリップの限界にさらされます。タイヤは、やや異なる種類のアスファルト(サーキットの他の路面より粗くなく、グリップも低い部分)に素早く対応しながら、ドライバーに最適なターンイン、ドライビングの正確性、横方向のグリップを提供しなければなりません。
スプーン・コーナーは、一定のカーブ率が長く続くセクションです。時速180kmで2.5Gの横Gがかかり、コーナー出口では、さらに1Gの加速Gも加わります。ここでは、コンパウンドとコンストラクションに大きな負荷がかかります。これが鈴鹿の典型的なコーナーであり、流れるようにコーナーが連続しているため、求められるトラクション性能は、他のサーキットよりも低いと言えるでしょう。通常のトラクションが求められるのは、ヘアピン(ターン11)の立ち上がりと最終シケインからの下り坂の立ち上がりの2か所のみです。ブレーキング性能も、鈴鹿ではさほど求められません。
130Rは、最速コーナーのひとつです。ドライバーは、7速全開の時速310kmで、このコーナーへ進入します。そして、大きなグリップを得た状態のまま、長いコーナーを全開で駆け抜けていきます。この時、800kg以上の負荷がかかる右フロントタイヤは、かなりの横方向の力に耐えながら、正確なレーシングライン上にマシンを支えなければならないのです。
最終シケインは、オーバーテイクポイントのひとつであり、1989年のアラン・プロストとアイルトン・セナの接触で良く知られる場所です。タイトな角度で構成され、各車が再び全開で加速するメインストレートへと続きます。
横方向を考える:
独特な高速コーナーの組み合わせのため、鈴鹿は、シーズンで最も高い横荷重がタイヤにかかるサーキットです。タイヤから見ると、それが鈴鹿の最大のポイントだと言えます。横荷重とは、タイヤをコーナーの外側へ押し出す横方向の力です。タイヤは、横方向の力を受けながらも、路面に対する摩擦によってグリップを提供し続けます。そのため、横荷重がタイヤのコンストラクションを変形させ、タイヤ摩耗を増大させることになります。
このような変形や横滑りは、熱を発生させます。特に、最も変形が激しいショルダー部において、この傾向が顕著となります。これによって、一部分だけが過熱し、トレッド表面が大きくちぎれ飛ぶブリスターが発生することもあります。これを放置すると、やがてタイヤ表面が壊れ、性能に影響が及びます。タイヤ温度が極めて重要な要素である理由は、ここにあります。
ほとんどのサーキットでは、ストレートでタイヤをクールダウンすることができます。コーナリングしていなければ、タイヤに横方向の力はかからないからです。しかし、特に鈴鹿の前半は、高速コーナーの連続のため、タイヤがクールダウンできるような、ストレートと呼べるような場所はありません。
これこそが、鈴鹿がタイヤにとってチャレンジングなサーキットである理由です。ドライバーは、この鈴鹿に投入されたタイヤを慎重に扱い、タイヤ温度をしっかりとコントロールしなければなりません。鈴鹿において、タイヤの働きがピークの時、タイヤの最も熱い部分の温度は120℃にも達するのです。
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