タイヤから見たイギリスGP
(C)Pirelli Motorsport
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2011年7月7日、シルバーストン
シルバーストンは路面がざらついており、全長もベルギーGPが行なわれるスパ・フランコルシャンに次いで二番目に長く、シーズン中、最も高速でタイヤに厳しいサーキットのひとつです。イギリスGPにはPZeroシルバー・ハード・タイヤとPZeroイエロー・ソフト・タイヤが供給されますが、気温が低く曇りがちで不安定な天候のため、PZeroブルー・インターミディエイトとPZeroオレンジ・ウエット・タイヤが使用される可能性が高いでしょう。シルバーストンは過去に何度も改修が重ねられてきましたが、今年最大の変化は、クラブ・コーナーの後に加わった新しいピット&パドックエリアです。これにより各コーナー番号が変わりました。
サーキットについて:
サーキットの序盤は非常に高速なセクションで、素早い切り返しの連続です。そのため、フロントタイヤのグリップを最大限に引き出すことが重要になります。
ターン3は低速のコーナーで、空力グリップよりもメカニカルグリップに頼ることになります。ここではリアタイヤを路面にしっかりと接地させ、最大限にトラクションを稼がねばなりません。特にマシンの回頭性も重要です。非常にトリッキーなコーナーではあるものの、ソフト・タイヤであれば正確なマシンコントロールとフィードバックが可能になるはずです。
ルフィールド・コーナーではエイペックス付近でグリップが最大になります。以前スタートフィニッシュ・ストレートとして使われていた短いストレートへの立ち上がりでエンジンパワーをフルに路面に伝えるため、徐々にコースのアウト側へと広がっていきます。
コプスも途中にバンプがあることで良く知られるコーナーで、タイヤはショルダーでこの衝撃を吸収してマシン挙動を安定させて正常なコンタクトパッチを維持します。
ベケッツは平均速度が200km/h以上という非常に厳しい高速コーナーの連続です。空力ダウンフォースと4Gもの横Gによって、タイヤの温度は急激に上昇し120度以上に達します。
ベイルの後は左、右と素早く切り返し、クラブ・コーナーへと入っていきます。しっかりとエイペックスを捕まえ、次のラップへと加速して行きます。
ディドコット:
シルバーストンから車で45分のディドコットにロジスティクス流通拠点を持つピレリにとって、イギリスGPは第2のホームレースです。この施設では各チーム担当のエンジニア12名と、タイヤをホイールリムに組み付けるタイヤフィッター19名を含む、約40名が常駐しています。カーボンブラックに塗られた12台のトラックもこのディドコットに駐留されています。その内訳は、サービストラック2台、タイヤトランスポーター7台、ホスピタリティユニット用が3台です。
ピレリのモータースポーツ・ダイレクター、ポール・ヘンベリーは次のように説明します。「我々にとって、活動拠点をイギリスに置くことは重要なことでした。なぜなら、F1の12チームのうち実に8チームがこの国に本拠地を置いており、こうすることで迅速かつ効率的な対応が可能になるからです。加えて、イギリスに技術的な中心となる場所を確立したかったという側面もありました。この国のノウハウを最大限に生かし、この国で働いていた最高のエンジニアや人材に参加してもらいたかったからです」
ピレリのF1チームは国際色豊かな組織です。ディドコットでは8つの国籍の人々が働き、10の言語が話されています。
今年の初め、ピレリはイギリス国内で50以上の候補地の中から、オクスフォードシャーのディドコットを選びました。屋内・屋外ともに最適な敷地があり、陸路でも空路でも輸送に便利な立地だったからです。
ピレリの5万本のF1用タイヤは、トルコのイズミットで製造され、ヨーロッパ圏内のレースではその1~2週間前までに陸路でディドコットに輸送されます。ディドコットでは各タイヤにバーコードが付与され、F1の運営団体であるFIAがランダムに決めた割り当てに沿って各チームに配分されます。
各レースの後は、使用済みタイヤはディドコットに戻され、近隣の専用工場においてリサイクルされます。
ディドコットはF1だけでなくGP2用とGP3用のタイヤも取り扱っています。さらには、風洞用やテストリグ用、展示用タイヤなど、各チームから要望を受けたタイヤも扱っています。
ピレリのトラックドライバーにとって、移動距離約70kmのシルバーストンは1年で最も短い移動になります。一方、ホスピタリティユニットの最長移動距離となるのは、陸路で3100kmの移動を要するトルコです。
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