ピレリ “ホーム”グランプリで新型ハードタイヤをテスト
2011 トルコGP
(C)Pirelli Motorsport 拡大します
2011年5月3日、ミラノ
グランプリ概略
前回の中国GPでは過去数年間でも最高と言えるレースが展開されたと、各方面からの評価が与えられました。そしてピレリはいよいよトルコGPに臨みます。今シーズン使用される5万本のF1タイヤはすべて、レースが行なわれるイスタンブールパーク・サーキットから車で30分のところに位置するイズミットの工場で生産されており、ピレリにとってトルコは第2の“ホーム”グランプリなのです。
厳密に言えばサーキットはボスポラス海峡の東側にあるアジア大陸側に位置しているものの、トルコGPは今シーズンのヨーロッパラウンドの初戦となるため、多くのチームがマシンに重要なアップデートを施してきます。ピレリも新たな進化型ハードコンパウンドを用意し、マレーシアGPと同様に金曜の2度のフリー走行に供給します。それ以降のレース週末のタイヤセット数は変わらず、開幕3戦でスリリングなレースを演出したのと同様に今回もハードとソフトのコンパウンドが供給されています。
2005年の開催以来、全長5.338kmのイスタンブールパークはカレンダーの中でも最も難しいサーキットのひとつとして知られています。このサーキットで最も有名なコーナーはターン8です。複数のエイペックスを持つ高速の左複合コーナーではタイヤの性能が限界まで試されることになります。
今回のトルコGPからは、ピレリのPZeroタイヤには新たに視認性の向上した識別マークがサイドウォールに刻印されます。そしてトルコはピレリが3年間のタイヤ独占供給契約を結んでいるGP2とGP3の開幕戦でもあります。
ピレリジャパン・プレスリリース
ピレリ・研究開発ダイレクター マウリツィオ・ボイオッキのコメント:
「トルコGPの金曜日に新たなハードコンパウンド・タイヤの進化を確かめるのを楽しみにしています。ピレリはいつまでも同じ場所に留まることを良しとはしませんので、各チームと協力してF1を面白くするための新たなタイヤ開発をシーズンを通して継続していきます。今回の実地テストで期待通りの結果が得られれば、次のバルセロナから実戦投入したいと考えています。このタイヤは従来よりもデグラデーションが小さく、耐久性が向上しているはずです。しかしウォームアップには従来以上に時間がかかり、グリップもやや低くなっています」
ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター ポール・ヘンベリーのコメント:
「トルコGPは我々にとってシーズン中で最も重要なレースのひとつです。50年以上も前から、イズミットに生産工場を構えてきたのですから。今週末は非常に重要なゲストを招くのに加えて、この魅力的なサーキットでどのようなレースが展開されるかを楽しみにしています。イスタンブールパークは高速コーナーがあり、路面も粗くバンピーで、マシンにも強大なGがかかりますから、タイヤにもシーズン中で最も過酷なテストを課してくれるでしょう。有名なターン8がタイヤにとって過酷であることは事実で、それゆえにタイヤの摩耗も大きくなるでしょう。決勝では3回ストップ作戦になるものと予想していますが、もちろんこれは状況に合わせて各車がどう適応していくかという戦略によって変わってくるでしょうし、この3戦ではそれが非常に重要な要素であることは証明済みです。トルコは気温の高い地域ですが、現時点の天気予報では今週末はやや涼しくなるとの報告を受けています。これはまた面白くエキサイティングな週末になるということなのではないかと思います」
ドライバーのコメント 小林可夢偉(ザウバー):
「僕たちのマシン、ザウバーC30フェラーリについては、今までのところタイヤの扱いには何の問題も抱えていません。実際、僕たちはピレリのPZeroタイヤを長くもたせることができますし、非常に上手く使うことができていると思います。しかしながら、イスタンブールパークでそれがどうなるかを予想するのは非常に難しいです。ここはいつも路面グリップが非常に低いのでクルマがよく滑ります。特にフロントタイヤをセーブするのがとても重要なポイントになると思います。僕の1番好きなコーナーは3連続の複合左コーナーのターン8ですが、これは同時にタイヤにとって最もチャレンジングなコーナーでもありますね」
テクニカル・ノート
*イスタンブールパークはF1では珍しい反時計回りのサーキットのひとつ。レースは計58周、総距離309.396kmで争われる。
*トルコGPで最も成功を収めているのは、フェラーリのフェリペ・マッサ。過去5回の開催のうち、3勝を挙げ、ポールポジションも3回獲得している。ロータス・ルノーのビタリー・ペトロフにとっても良い場所で、昨年のレースで自身初のファステストラップを記録している。
*トルコGPで最もピットストップが多かったのは初開催の2005年。計48回で、1人あたり2.4回だった。
ここまでの供給タイヤ:
Super Soft Soft Medium Hard
Australia Option Prime
Malaysia Option Prime
China Option Prime
Turkey Option Prime
イズミットの生産工場について:
最新の設備が完備され200人のスタッフがレース用タイヤ生産に携わるイズミットのF1部門では、2つの作業段階によってタイヤの生産が行なわれています。ひとつ目は開発段階で、ミラノの研究開発センターで開発された理論モデルに基づいたプロトタイプが製造されます。そしてふたつ目が製造段階で、5つの工程から成り、100種類の素材と18種類の基本部品を使用してタイヤの製造を行います。
続いてさらに、複雑な検証作業も行なわれます。全てのタイヤがX線のような透視装置によって内部構造に問題がないか検査され、放射線検査で外装構造も検査されます。さらに外周径も計測してユニフォーミティを確認します。最後に各タイヤにはバーコードが貼られ、製造段階からコース上まで各タイヤが個別に認識管理できるようにしています。
テクノロジーハブとしてのイズミット工場:
イズミットの生産工場では、2007年からモータースポーツ用タイヤが製造されています。昨年からはピレリのF1活動の中心となり、ミラノの研究開発センターと連携して作業を進めています。
F1部門の発足によって、ピレリのモータースポーツ用タイヤの製造量は増大しました。2011年は総計20万本のレース用タイヤを生産し、うち5万本がF1、7万本がGP2とGP3用です。それ以外は約60種類の国際レースやラリー選手権用のタイヤで、これにはフェラーリ・チャレンジやランボルギーニ・スーパー・トロフィー、マセラティ・トロフィーなどのワンメイクレースも含まれています。ピレリのモータースポーツタイヤのレンジはラリー用タイヤも含めると合計200種類にものぼります。
トルコでのピレリ:
イズミットの生産工場では、レース用タイヤだけでなく、1960年から市販車用タイヤや工業用タイヤも製造されてきました。ここからトルコとヨーロッパ市場(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン、ギリシャ、スイス、オーストリア、イギリスなど)、そして中東市場にタイヤが供給されています。メルセデスやジャガー、フィアット、ルノーをはじめとして、様々な自動車メーカーに供給しています。25年前からタイヤ以外にも鋼鉄製コードも生産しており、34万平方メートルの敷地で約1900人の従業員が従事しています。
ピレリのイズミット工場は、モータースポーツ用、市販車用、トラック用を含めて年間800万本という、ピレリ最大の生産量を誇る工場となっています。
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